【日産 キックス 新型】広々感にプレミアム感を加えて…チーフデザイナー[インタビュー]

日産 キックスデザインスケッチ
日産 キックスデザインスケッチ全 11 枚

日産『キックス』のインテリアは、コンパクトでありながら、広々感と上質さを狙いデザインされたという。そこでチーフデザイナーに2016年に海外でデビューしたクルマとの違いや、上質さのポイントについて話を聞いた。

【画像全11枚】

電動化へのこだわり

まず気になるのは2016年に登場した海外仕様との違いだ。

当然e-POWERを搭載することからシフト周りは変わっているが、それ以外では、「大型のアームレストが新たに装備された。これはサイドブレーキが手引きから、EPB(電動パーキングブレーキ)にしたことで装備出来た」。また、「インストルメントパネルのナビモニター周りの柔らかいパッド部分も新規で作成した」とは日産グローバルデザイン本部プログラムデザインダイレクターの入江慎一郎さんの弁。

細かいところでは、メーター内のグラフィックも新規であるなど、「e-POWERとしてより液晶が大きく見えるような工夫を至るところに施し、日本市場向けにかなりアジャストしている」という。その目的は、「全車e-POWERなので、電動化というイメージをどれだけベースのクルマに対して、付加価値として与えていけるかだ」とコメントした。

キックスのインテリアは新たに装備された若干高さのあるアームレストからSUVのイメージを想起させるものの、それ以外はあまりその雰囲気はない。入江さんもそこは認めたうえで、「どちらかというと快適に運転できるコンパクトカーというイメージでデザインしている」とのことだった。日産 キックス日産 キックス

広々さと上質さ

さて、キックスのインテリアデザインコンセプトはどういうものか。「コンパクトでありながらも視覚的に広さを感じてもらうことだ」と入江さん。具体的には、「インパネの造形を左右に伸ばしクルマの外側に突き抜けていくような動きや、乗ったときにわくわくするようなマテリアルの入り方やグラフィックで表現している」という。

また、ドアトリムに入っているラッピングの入れ方や、黒とタンカラーのシートのコンビネーションなど、「ハイコントラストでグラフィックが目立って見えてくるような遊び心も日本向けに少しアジャストしている」と話す。

そして、フロントウィンドウからドアトリムに向けて線が弧を描いている。「これも広さ感の演出だ。線が長いことからとても室内が広く見える」と述べ、広さ感とともに、ラッピングの入れ方などでエクステエリア同様上質さにもこだわってデザインしたことを説明した。日産 キックス日産 キックス

プレミアム感を演出するために

日本に導入されるキックスはかなり作り込みにこだわり、質感の向上が目指された。その点について入江さんは、「タイ工場生産なのだが、タイではこのキックスは高級車だ。従って現地の人達もすごく頑張ってくれて、高級車感を損なわない作り込みをしている」という。

例えば、「ステッチもよれずきちんと縫われている」とし、このキックスではふんだんにステッチを使用していることから気にしていた様子だ。「インストをはじめ、ナビゲーションモニターの周りのラッピング(内装色がオレンジタンの場合はオレンジに仕上げられている部分)に施してあるステッチなども、ちょっとアクロバティックで3次元的な作りをしている。そういったところもきれいに縫われていて、現地の人たちの強い思いを感じる」と納得の出来栄えだと語る。

例に挙げられたステッチはシートのサイド部分にも入っている。「まさに職人泣かせ(笑)」と入江さん。

「まっすぐ入れるとつまらなく、また手が触れるところなので、人に近いところにステッチを施したいという思いもあった。(シートに座るとステッチが隠れてしまい)乗り込むときにしかわからないクルマもあるが、そうではなく、シートにいながらステッチの存在をちゃんと感じるために外側から内側に向かってダイブしていくような流れを作った」とこだわりを明かす。

そして、「これらひとつひとつの造作がプレミアム感につながりつつ、アクティブなSUVとしての元々あるコンセプトを生かすという相乗効果を狙っている」とした。

最後にこのインテリアについてのこだわりを聞いてみると、「ラッピングをいかに施すかということだ。分量やそこに織り込んでいくステッチの数や入り方に非常にこだわった」と述べる。

「全体的な造形のテーマは初めからきびきび走るスニーカー的なもので、若い人たちを狙ったアクティブな造形になっているが、そこをベースにしながらもプレミアム感をどう出していくか。そこでこのラッピングにこだわったのだ」という。また、センターコンソールの両サイドのニーパッド部分も、「通常このセグメントだと樹脂で出来ているが、あえてこだわって巻物にした」とプレミアム感の演出に相当のこだわりが感じられた。

最後に入江さんは、「今回の開発は皆結構ノリノリでやった。ついてきてくれたのが嬉しかった」と開発チーム全体でこだわりを持ってデザインしていったことをコメントした。

《内田俊一》

内田俊一

内田俊一(うちだしゅんいち) 日本自動車ジャーナリスト協会(AJAJ)会員 1966年生まれ。自動車関連のマーケティングリサーチ会社に18年間在籍し、先行開発、ユーザー調査に携わる。その後独立し、これまでの経験を活かしデザイン、マーケティング等の視点を中心に執筆。また、クラシックカーの分野も得意としている。保有車は車検切れのルノー25バカラとルノー10。

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