Bセグ、SUV部門ともに販売台数ナンバー1の新型ルーテシアとキャプチャー 欧州27ヵ国で実現したルノーの実力を検証

ルーテシアのルーツはサンク フランス人でなければ到底思いもつかない仕上がり

このクラスのSUVでエレガント性まで加えたモデルは他にない

運転が極めて激しいフランス人も納得の瞬発力

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ルノールーテシア、キャプチャーの実力を検証
ルノールーテシア、キャプチャーの実力を検証全 34 枚

コンパクトカー市場が賑わう昨今、特にヨーロッパや日本では多くのユーザーが日常の足として使用するだけに、使い勝手の良さや燃費性能、さらに安全性まで問われるため、比較的手に届きやすい価格帯であってもメーカーの姿勢や個性、本気度までが試される。

そんな中にあってルノーは、2020年に新型『ルーテシア』で欧州Bセグメント販売台数ナンバー1、新型『キャプチャー』も欧州SUVモデル販売台数ナンバー1を記録した。元々ルノーはこの市場では高く支持され続けているとはいえ、2020年はコロナ禍であったにも関わらず、ヨーロッパ27ヵ国で実現したというから尋常ではないだろう。ルノー ルーテシアルノー ルーテシア

ルーテシアのルーツは5(サンク) フランス人でなければ到底思いもつかない仕上がり

新型ルーテシアでまず目を引くのは、やはりモダンなエクステリアだ。フランス車は旧くから他国とは一線を画する個性的なデザインで魅了してきたが、ルノーは特にその意識が高く、ルーテシアの起源とも解釈できる、『5(サンク)』のデザインを例に挙げられるように、フランス人でなければ到底思いもつかない仕上がりをみせてきた。新型ルーテシアも先代から受け継ぐ面も垣間見られるものの、それでも新しく、ルーテシアならではと思わせるところが多い。ルノー ルーテシアルノー ルーテシア

前後フェンダーの膨らみや、ボンネットのプレスラインなど、全体の仕立てとバランスは、さすがはフレンチ!だと唸らせる。Bセグメントというベーシックカーにしては存在感が高く、出来すぎな仕上がりに惹かれるのも頷けてしまう。リアのドアハンドルを隠すようにデザインしているところも意識が高い証しだろう。ヘッドライト周りやリアのテールライトのデザインも実に洒落ている。ルノー ルーテシアルノー ルーテシア

このクラスのSUVでエレガント性まで加えたモデルは他にない

一方の新型キャプチャーは、コンパクトSUVとは思えないほどの脈動感と上品さが特徴。ルーテシアの姉妹車とはいえ、各々のデザイン性は対極的だ。キャプチャーの場合は頼もしさを匂わせるような存在感で、旅をしたくなるような印象を与える。2トーンのボディカラーに、前後のスキッドプレート、ルーフレールなど、他社でも似たようなアプローチは見られるものの、このクラスのSUVでエレガント性まで加えたモデルは他にない。これもフランス人らしいこだわりの表れである。ルノー キャプチャールノー キャプチャー

いずれも日本人ユーザーなら洗車が楽しみになるようなデザインかもしれないが、逆にお構いなしとばかりに、汚れても気にせず、使い倒すように扱うのがフランス人である。それゆえに、基本性能の高さも求められるが、その点もやはりルノー、一切抜かりなしの完成度を見せる。

運転が極めて激しいフランス人も納得の瞬発力

プラットフォームはルノー、日産、三菱のアライアンスによって設計された「CMF-B」と呼ばれる新世代を今回から採用しているが、これがまたルーテシアとキャプチャーの印象をさらに良くしている。先代よりも50kg軽量で、かつ高剛性を実現していることも特徴ではあるが、それ以上に前後足まわりのバランスがとにかく見事! ハンドリングは正確性が増し、リアはしなやかさが得られるようにセッティングされているため、街中では取り回しやすいだけでなく、運転そのものを快適性をもって楽しませてくれる。ルノールーテシア、キャプチャーの実力を検証ルノールーテシア、キャプチャーの実力を検証

これこそフランス、ルノーの真髄だ。パリの街で鍛えられてきたからこそ、機敏かつ快適に走る!154ps&270Nm(ルーテシアは131ps&240Nm)を発する1.3リッター直列4気筒ターボエンジンもそうだ。ノーマルモードでもスタート時から活気に溢れ、ゴー&ストップの多い街中でも嫌な気分にさせないどころか、次のスタートが楽しみになるくらい。ややクイックになったハンドリングも功を奏し、交差点で曲がることにも積極的になってしまう。これくらい瞬発力がないと、きっとフランス人は納得しないのだろう。ルノー キャプチャールノー キャプチャー

パリに行ったことがある人ならわかると思うが、フランス人の運転は極めて激しい。日本人なら嫌になるくらい、パリの朝は特に過激だ。そんな国民性をもったがエンジニアが造ったからこそ、ヨーロッパ全域で支持されるのかもしれない。だから高速域でも期待以上。

アシスト機能は少なくともクラス最高の出来栄え

もっとも『ルノー・スポール』の存在が示すように、走りに関して徹底しているのはもはや彼らにとって常識だが、SUVのキャプチャーも走行安定性が予想を超えていたから正直驚かされた。しかも高速コーナーが連続するようなシーンでも不安になるようなこともなく、ルーテシアよりも重心が高いはずなのに、それをほとんど意識させないことには舌を巻く。しかも直進安定性もこのクラスとしては異様なまでに高い。ルノー キャプチャールノー キャプチャー

それもそのはず。先代よりも全体的に引き締まった印象なのは、レーンセンタリングアシストの正確性を求めた結果で、主にステアリングのギア比を見直したことこそが肝。そのおかげで、レーンセンタリングアシストとACC(アダプティブクルーズコントロール)を組み合わせたハイウェイ&トラフィックジャムアシストを作動させた際、安心してクルマ任せに出来たのは本当だ。

通常、レーンセンタリングアシスト(メーカーによってはレーンキープアシストと呼ぶが)は、多少なりとも左右にハンドルを微調整しながら走行するのがほとんどだが、ルーテシア、キャプチャーとも正確にレーンの中央を走り続ける。これは少なくともクラス最高の出来栄え。ここまで正確に働くのであれば、長距離ドライブであっても不安になることはほぼ皆無だろう。ルノー キャプチャールノー キャプチャー

そういったところで言えば、シートも同様。ルノーのシートはかねてから評判が良かったが、ルーテシア、キャプチャー、いずれもロングドライブにも向く仕上がりで、適度なサポート性をもちながらも乗降性が良いから、ちょっとした買い物から休日のロングドライブまで幅広く対応する。これも“ワガママ、気まま、なすがまま”というヨーロッパの人々に応えて導き出された証しだ。

ジャブのように効いてくるリアシートの配慮

コクピットのレイアウトやダッシュボードは人間工学に基づいてデザインされているとあって機能的に配列されているが、中でもキャプチャーのATセレクターレバー周りに与えられたフライングセンターコンソールは特に印象に残る。上下2段に分けられたその上段にセレクターレバーを設けたことで操作性は抜群、デザイン的にもSUVらしさがあって実に好ましい。ルノー キャプチャールノー キャプチャー

また、160mm前後するキャプチャーのリアシートも有り難い。荷物が多い時はラゲッジスペースを拡大するために前方へ、後部座席に人を乗せる際は後方にスライドさせるだけだが、こういった配慮が日常ではジャブのように効いてくるのは確か。コンパクトSUVであれば、尚さら有り難く感じるはずだ。

これからの日本にも合っている気がする「ジェンダーレス」なデザイン

日々使う事に、走行距離が伸びれば伸びるほど、クルマとオーナーの距離が近づくように感じられるのもフランス、ルノーの美点かもしれない。ヨーロッパの人々は、とにかく愛車を下駄のように乗り回すことで知られているが、そのために新車当時の評価は実のところ100%ではないというのが実情。即ち、本当の乗り心地は、だいたい15,000~20,000kmを超えた頃からが本領発揮と言わんばかりに、しなやかさが増してくるのが定説だ。ルノー キャプチャールノー キャプチャー

ディーラーに足を運んで試乗した際は、乗り心地がやや硬く感じるかもしれないが、ルノーに長年乗り続ける知り合いに聞いたところ、その先にある旨味を知ってしまうと、浮気できなくなると言っていた。今のルノーがヘタれば、次の新車もルノーへと自ずと選択している自分がいるというし、それが当たり前になってしまったと語る。

それに加えて、デザインにも表れるジェンダーレスなところもルノーらしく、これからの日本にも合っている気がする。自動車というものは、とかく工業製品ゆえに偏りがちなコンセプトになりやすいが、ルノーは昔からそういったことを意識させないデザインを貫いてきた。最新のルーテシアとキャプチャーを見て、男性的とか、女性的とか思わせないのは、根底に流れる血筋にあるのかもしれない。ボディやインテリアカラーが変わっても同様。メンタル面でも見習いたい姿勢をもつのもルノーの特徴だろう。ジャーナリスト 野口優氏ジャーナリスト 野口優氏

そう思えば、ルーテシアが初代から第4世代まで累計で1500万台を販売しただけでなく、2度の欧州カー・オブ・ザ・イヤーまで獲得しているのは当たり前のような気がする。新型ルーテシアとキャプチャーもヒットの法則で作られるマーケティング的なところも加味しているものの、その前にDNAが違うと今回思い知らされた次第だ。これなら確かにルノーから抜け出せなくなるかもしれない、と約300kmの旅を終えて痛感した。

ルノー キャプチャーの詳細はこちら

野口 優|モータージャーナリスト
1967年 東京都生まれ。1993年に某輸入車専門誌の編集者としてキャリアをスタート。後に三栄書房に転職、GENROQ編集部に勤務し、2008年から同誌の編集長に就任。2018年にはGENROQ Webを立ち上げた。その後、2020年に独立。25年以上にも渡る経験を活かしてモータージャーナリスト及びプロデューサーとして活動中。

《野口優》

野口優

1967年 東京都生まれ。1993年に某輸入車専門誌の編集者としてキャリアをスタート。後に三栄書房に転職、GENROQ編集部に勤務し、2008年から同誌の編集長に就任。2018年にはGENROQ Webを立ち上げた。その後、2020年に独立。25年以上にも渡る経験を活かしてモータージャーナリスト及びプロデューサーとして活動中。

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