もはや国民車、ホンダ「Nシリーズ」の原点『N360』【懐かしのカーカタログ】

ホンダN360
ホンダN360全 7 枚
少し前に“今の”Nシリーズの累計販売台数が300万台を突破した。2011年12月の発売から9年6か月での達成、もちろん今どきの軽ハイトワゴン『N-BOX』人気が原動力だ。今回は遠く昭和に思いを馳せ、“N”のそもそもの原点、『N360』を振り返ってみた。

◆ホンダ初めての乗用車として誕生したN360


トラックの『T360』と2シーターオープンカーの『S500』とで4輪市場への進出を果たしたホンダから、初めての乗用車として誕生した記念すべき1台が軽自動車の『N360』だった。1966年10月発表、翌67年3月発売。

後に“エヌッコロ”の愛称で親しまれることとなったこのクルマは、タイヤをボディの4隅に配置し、キャビンを大きく、メカニズム(エンジンルーム)は可能なだけ小さく、さらに荷物も積めるようにしたもで、FF方式のホンダの“マン・マキシマム/メカ・ミニマム”を体現した元祖でもある。


カタログの家族4人が乗ったカットモデルの写真は、そのことを表現したもの。トランクは上ヒンジ(クラシック『ミニ』は下ヒンジ)で開き、隔壁を設けず、後席を倒してトランクスルーにもできた。

走りも動力系に余裕を持たせることを主眼とした354ccの強制空冷4サイクル2気筒OHCを搭載。31ps/3.0kg−mの性能を持たせ、写真のカタログの諸元表には最高速度115km/hと記載が。エンジンはアルミ合金製、リッター当たり88ps、燃費は28km/リットル(時速44kmの場合)、0→400m加速22.0秒などのデータも併記している。


少し長いが文面をご紹介しておくと“N360は名神高速や鈴鹿サーキットをはじめ、西独アウトバーンでの連続高速耐久テストにより「走り込むほど快適」という見事な結果を残しています。また4度を越す酷暑のタイ国でフルスロットルテストや、逆にカナダでの極寒地テストでも全くトラブルの徴候もなく、驚くべき強靭さを証明しました”とある。

当初は31万3000円でライバル車を凌ぐ低価格のシンプルなクルマとして発進。後に3速フルAT車(ホンダマチック)、サンルーフ車、36psのツインキャブ車(T)なども設定。装備、仕様違いでM、S、Gといったバリエーション展開も。さらに1969年になると、内・外観を改めた『NIII』が登場した。1970年には生産開始から43カ月で、生産累計100万台を達成した。

《島崎七生人》

島崎七生人

島崎七生人|AJAJ会員/モータージャーナリスト 1958年・東京生まれ。大学卒業後、編集制作会社に9年余勤務。雑誌・単行本の編集/執筆/撮影を経験後、1991年よりフリーランスとして活動を開始。以来自動車専門誌ほか、ウェブなどで執筆活動を展開、現在に至る。便宜上ジャーナリストを名乗るも、一般ユーザーの視点でクルマと接し、レポートするスタンスをとっている。

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