マレーシア、銃撃事件の増加、投資家感情が悪化の恐れ 外国商工会が懸念

エマージング・マーケット 東南アジア

ここ数か月、マレーシア国内では銃を使用した襲撃事件やギャングのグループによる殺人事件などが急増しており、治安の悪化が外国投資家の感情悪化に繋がっている。

5月以降、報告された銃撃事件の件数は35件。22人が死亡している。7月29日には、Amバンク・グループの創業者であるフセイン・アハマド・ナジャディ氏が、クアラルンプールのロロン・セイロンにある中国寺院付近の駐車場で銃撃され死亡した。同氏の妻も至近距離から銃撃を受け重傷を負った。外国投資家の間ではマレーシアの治安が悪化しているとの懸念が拡大している。

マレーシア・カナダ・ビジネス協議会のロジャー・ポーリン会長は、暴力的な犯罪の増加は投資家の懸念事項となっていると指摘。政府が対策をとることを期待するとコメントした。

マレーシア・米国商工会議所(AMCHAM)のニコラス・ゼフェリス会頭は、AMCHAMの加盟企業からは治安に対して懸念する声が出ているが、投資引き揚げを検討するまでには至っていないと指摘。今後も犯罪撲滅のための取り組みをマレーシア政府が続けるのであれば投資家の不安は軽減されると述べた。

昨年、マレーシアが誘致した外国直接投資(FDI)額は348億リンギ。あるファンド・マネージャーは、今後も銃撃事件など凶悪犯罪が増加する傾向があれば、投資家はマレーシアへの投資を再検討する可能性があると発言した。
警察や国会議員の間からは、犯罪の急増の原因を、重犯罪者の予防拘禁を可能にする緊急措置令(EO)が廃止されたことだとの声が出ている。2,600人の銃犯罪者やギャングのメンバーが釈放され、各地で犯罪行為を行っているという。

EOは1969年5月に起きた民族間の衝突事件の際、犯罪シンジケートのリーダーや中心人物などの犯罪容疑者を拘束するために制定された。適用されると裁判なしに2年間容疑者を拘束できるため人権侵害との批判の声が上がり、2011年に廃止された。

千田真理子

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