MASに続くサバ州誘拐事件、中国との関係悪化の懸念

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マレーシアのナジブ・ラザク首相
マレーシアのナジブ・ラザク首相 全 1 枚 拡大写真

サバ州南西部センポルナ沖の水上リゾートで中国人女性観光客とフィリピン人女性従業員が武装グループに誘拐された事件で、マレーシア航空(MAS)MH370便の行方不明事件で悪化しているマレーシアと中国の互いの国民感情がさらに悪化する懸念が出ている。

訪豪中のナジブ・ラザク首相は、「マレーシアと中国の関係を悪化させたい者がいる可能性がある」と発言。「マレーシアと中国の間に楔を打ち込もうとする者がいるかもしれず、状況を利用しようとしているかもしれない」と指摘した上で、両国間の緊張が高まることが予想されるが関係が損なわれることはないと述べ、政府レベルの関係には影響がないことを強調した。

153人の中国人乗客が搭乗していたMH370便の行方不明事件により、中国国内でマレーシアに対する懸念の声が高まっている中で発生した中国人誘拐事件ということで、マレーシアを訪問する中国人観光客がさらに減少すると予想されており、旅行業界が戦々恐々としている。ネット上では、中国のブロガーによる「マレーシアには行かない」などのネガティブな書き込みが増えている。2013年にマレーシアを訪問した中国人観光客は179万人で、国別で第三位。前年比で15%も増加していた。

中国側にしても、国民の不満に配慮してマレーシア側に強い態度で臨まなければならない事情があるとはいえ、スプラトリー諸島領有問題でベトナムやフィリピンと対立する中にあってマレーシアとの友好関係維持は不可欠だ。

伊藤 祐介

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